先日、政府は、40歳から64歳の大人の引きこもりが全国で64万3000人と推定されると発表しました。
引きこもりと言えばこれまでは子供や若者というイメージで、その対策も若者中心に考えられてきました。
大人の引きこもりは親の高齢化とともに深刻化していき、「8050問題」とも呼ばれています。
実情をよく認識し対応することが当人や家族のみならず、国や社会全体として求められています。
大人の引きこもりの現実
4月13日のテレビ朝日のニュースで、大人の引きこもりについて取り上げていました。
政府の発表では、40歳から64歳の大人で半年以上の引きこもりの人が全国で64万3000人と推定されるそうです。
具体的な事例
事例では、
・45歳の男性でうつ状態もあり、15年間ほとんど部屋から出ない
・両親の年金で暮らしている
・母親(79歳)はもうすぐ80歳になるが、息子のために料理を作っている
・両親との会話はほとんどなし
・何もできない自分を苛立たしく思っている
というものです。
もう一つの事例です。
・50歳の男性で高2で中退以来40年以上引きこもりを続けている
・両親はすでになく、収入ゼロ
・両親の残した預貯金で暮らしているが、あと2年ほどで底をつく
・就業については、履歴書に書くことがない、面接が怖い
・やりたいことが特にない
深刻な「8040問題」
引きこもりの「8040問題」という言葉があります。
上記の例からもわかるように、親が80歳以上、子が50歳以上の深刻な状況を表しています。
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大人の引きこもりの打開策は?
これまで引きこもりは子供の不登校問題や若者に焦点が当てられてきました。
大人、しかも中年以上の引きこもりへの対策は、国も社会もはなはだ不十分な状態です。
原因は何?
問題の解決には、まず原因から明らかにしていくことから始まります。
主な原因として4つのことがあります。
・学校でのいじめなど子供のころから続いている
・社会に出る第一歩の就職で失敗し、人生で初めての大きな挫折を味わう
・職場での人間関係、仕事の失敗などでストレスを受け、退社したままになる
・発達障害により環境になじめず、社会生活に困難をきたしている
1から3番までの原因には4番目の発達障害が絡んでいる場合もあると思われます。
打開策はどうすればいい?
引きこもりを当人が自力でとか、家族が協力して解決するのは至難の業です。
外部へ相談し支援を受けることが欠かせません。
自身がなかなか一歩を踏み出せないと悩んでいたり、引きこもりの家族を何とかしたいと悩んでいる人に向けて、支援してくれる機関やNPO法人などがあります。
地域の自治体の相談・支援
都道府県や市町村には、引きこもりの相談に乗ったり支援してくれる窓口があります。
私の住んでいる街では、毎月1回第2金曜日に、本人や家族を対象に精神保健担当の保健師、精神保健福祉士が担当して相談に乗っています。
自治体にもよりますが、
・相談に行く
・担当者が家庭を訪問し、社会復帰の手助けをする
などの手順を踏みます。
その他の支援機関・団体
・社会福祉協議会
・引きこもり支援NPO法人
・引きこもり医療福祉法人
などがあります。
さいごに
引きこもりは本人にとっても社会や国にとっても深刻かつ重大な問題で、あらゆる意味で大きな損失です。
本人や家族だけでは抜け出せないだけに、今後、一層の解決策を見出して支援を強化していく必要があります。