去る5月21日に、河野外相が日本人の名前のローマ字表記を「姓・名」の順にするよう海外の報道機関に要請する旨の発言をしたとのニュース記事を目にしました。
その理由として、例えば中国や韓国など周りの国々の首脳の名前の英語表記も「姓・名」の順になっていることをあげていました。
私は子供のころから、日本人なのにローマ字表記や英語で名乗る時には「名・姓」の順になるのはなぜだろうと不思議に思っていました。
あなたはどう思いますか?
日本人の名前のローマ字表記が「名・姓」なのはなぜ?
近隣諸国の名前のローマ字表記は?
子供のころ、日本人の名前のローマ字表記が「名・姓」なのは日本人が欧米に弱く劣等感を持っているからなのかななどと思っていました。
英語では「名・姓」の順になると思っている人も多いようですが、冒頭の河野外相の話のように、近隣の中国や韓国、はたまた北朝鮮、東南アジアの首脳たちの名前も英語だろうが自国語だろうが、その国での順に表記されています。
例えば、中国の習近平主席は(Xi Jinping)、韓国の文在寅大統領は(Moon Jae-in)、北朝鮮の金正恩委員長はKim Jong-un)、台湾の蔡英文総統は(Tsai Ing-wen)、さらにミャンマーの指導者アウンサン スーチーさんは(Aung San Suu Kyi)といずれも母国での名前「姓・名」の順でローマ字表記されています。
そうであれば、日本の安倍晋三首相だって(Shinzo Abe)ではなくて(Abe Shinzo)でいいはず、というよりそうするのが当然というか自然ではとの考えが出てくるわけです。
日本でも英語で名前をいう時に「姓・名」の順でいう場合がないわけではありません。
歴史上の人物の場合は徳川家康を(Tokugawa Ieyasu)、織田信長を(Oda Nobunaga)と言ったり表記したりします。
日本人の名前がローマ字表記で「名・姓」の理由を考えてみる
日本人が一般に「名・姓」の順を、ローマ字表記したり、欧米の言葉で話す時に使う正確な理由は知りません。
しかし、様々な理由を想像してしまいます。
先に述べた欧米に対する劣等感意識は、かつては「Japan as No.1」などと言われて経済成長を遂げた時代を経てきた現在ではそれほどないと思います。
私の子供のころは日本は戦争に負けて後進国、欧米は先進国と考えられていたので、欧米に対する劣等感的なものはありました。
日本人のローマ字表記あるいは英語での表現時に「名・姓」の順が使われだしたのは最近あるいは戦後ではなく、明治のころからだと考えられます。
明治時代は、欧米文化を積極的に取り入れ、欧米に追いつこうと必死に戦っていた時代です。
ですから、欧米の物まねや欧米文化の一つとして、「名・姓」の順が取り入れたことも考えられます。
そこに、欧米人にわかりやすいようにとの日本人のやさしい配慮も加わったのかもしれません。
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日本人の名前の順はどうあるのが望ましいか
考えてみれば、英語=欧米文化とは必ずしも言えるわけではありません。
英語は主に欧米人が使ってきましたが、今や世界語であり、欧米であれアジアであれ使われます。
しかもその国でのコミュニケーションの手段としての役割を持ち、その国の文化や習慣を表現する手立てです。
「姓・名」か「名・姓」かは英語という言語が決めていることではなくて、その国の文化や習慣から来ているのです。
欧米諸国では名前を「名・姓」の順に表す文化や習慣があります。
多くのアジア諸国では名前を「姓・名」の順に表す文化や習慣があります。
それを自国の言葉で表したり、英語で表したりするだけのことです。
アメリカ大統領の名前を日本語で(トランプ・ドナルド)と表現することはありません。
そう考えると、日本人の名前は英語であってもフランス語やドイツ語など他の欧米発祥の言葉であっても「姓・名」で表すのが自然であり、さらに言えばその国の文化を尊重することにもつながると思えてきます。
日本でエスペラント語を学んでいる人の世界では、日本人の名前は「姓・名」の順だそうです。
ポーランド人のザメンホフが創案した言語ですが、「名・姓」ではないそうです。
但し、姓を大文字、名を小文字で表示することも推奨しているとのことです。
この表示方法は「姓と名」が分かりやすいので、エスペラント語に限らず他の言語でも受け入れられやすいと聞いています。
実は、文部科学大臣の諮問機関である国語審議会が、日本の文化的背景に従って名前のローマ字表記を「姓・名」の順に変更するよう今から6年以上も前の平成12年12月に答申していたのだそうです。
この答申が今、やっと日の目を見ようとしているということです。
一旦動き出せば、結構すんなりと定着し始めるかもしれませんが、どうなることでしょう。
興味津々です。
とりとめのない文章を最後までお読みいただき、ありがとうございました。