誰でも苦手な人や対立する人の一人や二人はいるものです。
そんな相手に限って、味方につければ心強い存在になったりします。
「フランクリン自伝」の中に、対立する相手が自分に親切な行為をするよう仕向けて、最終的には親友にまでなったエピソードが語られています。
この現象はベンジャミン・フランクリン効果と呼ばれています。
フランクリンのうまいやり方について説明します。
フランクリン効果のもととなったエピソード
アメリカ合衆国建国の父の一人としてたたえられているベンジャミン・フランクリンが使った人間の心理を突いたといえるこのフランクリン効果とはどんな効果でしょうか?
そのもととなったエピソードが「フランクリン自伝」(渡邊利雄訳 中公)の第八章社会活動(一)に書かれています。
ちなみに「フランクリン自伝」は何人もの訳者によりいくつかの出版社から発行されています。
話は1736年アメリカがまだ独立する前のイギリスの植民地時代にさかのぼります。
フランクリンは地方議会の書記に選出されました。
翌年も続いて書記に選ばれましたが、その時に対立候補を強く推薦した議員がいました。
フランクリンはその議員のことを当然のごとくこころよく思っていませんでした。
しかし優れた議員だったので、近づきになりたいとは思っていました。
その議員は資産家で教養もあり、将来議会の大物になるのは衆目の一致するところでした。
実際、大物になったのです。
その有力議員にフランクリンは敢えてへつらったり取り入ったりすることはしませんでした。
その議員は資産家だけあって自分の図書室を持っていたのです。
その中に非常に貴重な蔵書があると聞いたフランクリンは、彼にお願いの手紙で、
「是非その書籍を読みたいと思っているので、数日間貸していただけませんか?」
と申し出ました。
案ずるより産むが易しのごとく、すんなりと貸してくれました。
その本を読み終えて1週間後に返す際に、心からの感謝の気持を表した礼状を添えました。
するとどうでしょう?そのあと議会で顔を合わせるなり、これまでになかった丁寧な言葉で話しかけてきたのです。
その後もことあるごとに何かと目をかけてくれ、ついには無二の親友としてその友情は亡くなるまで続きました。
あなたの応援クリックが、更新の励みです。
フランクリン効果とは?
この大変化はどうして起きたのでしょう?
その議員は反対派のフランクリンに貴重な本を貸すという親切をしてやった。
その親切に対し、相手は心から喜んでいる。
あいつは結構いい奴かもしれない。
敵対するのをやめて、ちょっと仲良くしてみるか。
なかなかいい奴じゃないか。
こんな奴となら、いい友達になれそうだ。
というところでしょうか。
つまり、対立していた相手に親切にすると、その理由付けをして自分の行為を正当化するのです。
簡単に言うと、相手に親切にしたり助けたりすると、その相手を好きになってしまうという現象が起きてしまうのです。
これをフランクリンのエピソードをもとにしてフランクリン効果と呼びます。
もし、あなたに苦手な人や対立する人がいて、本当は仲良くなったらいいだろうなと思っているのなら、このフランクリン効果を活用してみたらいかがですか?
逆に、こちらから相手に親切にしてみることで、相手のことを良い方に解釈して、相手に対するわだかまりなどが消えるかもしれませんよ。
このフランクリン効果は相手の気持や態度を変えさせるだけでなく、自分の心も開くきっかけを作ることができます。
うまく活用してみましょう。